みなさんは、
「普通に話しているだけなのに疲れる」
「自然体で思ったことをうまく話せない」
そんなふうに感じることはありませんか。
私も長い間、同じように感じていました。
今でこそ、HSPという特性が知られるようになりましたが、
当時は、生きづらさの原因がわからず、
ただただつらい毎日を送っていました。
でも、あるとき気づいたのです。
この特性にも、ちゃんと意味があるのだと。
今回は、同じように悩んでいる方に向けて、
「話すだけで疲れる人に何が起きているのか」
そして「どうすれば楽になれるのか」について、
お話ししたいと思います。
内側で起こっていること
HSPさんは、人と話したあと、
一人になったときにどっと疲れを感じることがあります。
自分では気を使っているつもりはないのに、
知らない間に、力が入って、気を張り続けてしまう。
そんなとき、内側では、
「無意識に情報を受け取りすぎている」
+
「調整し続けている」
この2つが同時に起きています。
本来、会話というのは、言葉のやり取りだけのシンプルなものです。
ですが、HSPさんは、持ち前の高感度アンテナによって、
それ以上の情報を無意識のうちにキャッチします。
相手の表情、しぐさ、声のトーン、周りの音、空気…。
さらには、相手の考えていることや、
言葉にしていない感情まで。
そして、その場に違和感が出ないように、無意識に自分を合わせ続ける。
たとえば、
相手の表情を見て言葉を選び直したり、
その場の空気に合わせて本音を飲み込んだり。
気を抜くことなく、これだけのことをしていれば、疲れるのは当然ですよね。
なぜ、こんなに気を使ってしまうのか
気を使いすぎてしまう理由には、
もちろん、生まれ持った繊細さもあります。
ですが、多くは、
小さい頃の環境や人との関わりの中で、
自然と身についたもの。
親の機嫌が読めないと、不安になったり、
空気が少し変わるだけで、「怒られるかも」とびくびくしたり。
そんな環境で育った子供は、
まわりの様子を感じ取ることで、自分を守るようになっていきます。
親の顔色、声のトーン、ちょっとした空気の変化。
そうした小さな変化を健気にキャッチし、
「大丈夫かどうか」を判断しながら大きくなる。
機嫌がよさそうだから大丈夫。
声のトーンがやさしいから安心。
しぐさに落ち着きがあるから、今日は大丈夫そう。
そんなふうに、ずっとアンテナを張り続けて、
まわりの空気を感じ取りながら、
これ以上傷つかないように。
つらい思いをしないように。
そうやって、自分を守ることが、心を保つための方法になっていきました。
「親に気に入られるようにふるまうこと」
それが、小さなあなたにとって、唯一の、
生き抜く方法だったから。
そしてその方法は、今も潜在意識の中に残っています。
ただ話しているだけなのに、疲れてしまう。
その主な理由は、小さい頃に身についた自分の守り方にあったのです。
問題は性格ではない
HSPさんが疲れやすいのは、性格の問題ではありません。
繊細さは、特徴であり、強みでもあります。
ただ、その強みが少し働きすぎているだけ。
だから、無理に変える必要はありません。
少しだけ「使い方」を変えていけばいいのです。
いきなり大きく変えようとしなくて大丈夫。
小さなことから始めていけばいいのです。
① 気づくだけにする
まずは、「気づく」ことから。
「今、ちょっと無理してるかも」
「少し合わせてるな」
「本当はこう思ってる」
それに気づくだけ。
変えなくていい。行動もそのままでいい。
ただ、自分の本音に気づく。
これだけで、
無意識だったものが「選んでいる状態」に変わり、
不思議と疲れ方も変わっていきます。
② すぐに返事をしない
気を使いすぎてしまう人は、
沈黙に居心地の悪さを感じて、
つい早く反応してしまいがちです。
頼まれたらすぐ「いいよ」と返事をし、
聞かれたらすぐ答える。
一見、即答というと、いいことのように思えますが、
でも、その速さが、気づかないうちに自分を追い込んでしまうことがあるのです。
すぐに答える。
すぐに引き受ける。
それは、反射的に相手に合わせることと同じです。
すると、自分の本音や状況を確認する前に、物事が決まってしまいます。
本当は無理かもしれない。
まだ少し迷っている。
そんな気持ちがあっても、物事はそのまま先へ進んでしまうのです。
その結果、あとからしんどくなる。
時間が足りない。
気力が持たない。
断れなかったことへのモヤモヤ。
「なんで引き受けたんだろう」という自己嫌悪。
それが、気づかないうちに自分を追い込んでしまいます。
だから、そんなときは、
ワンクッション置いてみてください。
「ちょっと考えてもいい?」
「あとで連絡するね」
そういうだけ。
最初は、これだけでもすごく違和感があると思います。
でも、この一瞬があるだけで、
自分の気持ちを確認できるようになります。
そして、
「自分は本当はどうしたいか」に、気づけるようになっていきます。
③ 小さく断ってみる
やさしくて繊細な人が、いきなり断るのは難しいかもしれません。
そんなときは、全部断るのではなくて、
少しだけ調整することから。
たとえば、
・時間を短くする
・回数を減らす
・できる範囲だけ引き受ける
「NO」じゃなくていい。
「そのまま全部受けない」だけでいいのです。
これを繰り返していくと、
少しずつ感覚が変わっていきます。
④ 一人の時間で戻る
気を使いすぎてしまう人は、
意識がいつも外に向きがちです。
自分の感情は置き去りのまま、
まわりのことを見続けているような状態。
だから、意識的に「自分に戻る時間」を作ることが大切です。
・一人でぼーっとする
・何も考えない時間を持つ
・人と関わらない時間を作る
「そんなことか」と思うかもしれません。
でも、この時間があるかどうかで、疲れ方は大きく変わってきます。
自分をすり減らしながら、相手に合わせ続けて、
回復しないまま、また人と関わる。
それを繰り返すと、気づかないうちに、どんどん気持ちの余裕がなくなっていきます。
だから、いったん立ち止まって、
自分に戻る時間を持つ。
これは、サボりではありません。
繊細でやさしく、
人といるだけで疲れてしまうあなたにとっては、
何より必要な時間です。
この時間があるだけで、
次に人と関わるときの負担が、ぐっと軽くなるのです。
⑤ 優しさの向きを変える
私自身の経験からすると、
これが一番大きいポイントでした。
今まで相手に向けていた優しさを、
少しだけ自分にも向ける。
無理している自分に気づく。
疲れているときは休む。
本音を否定しない。
それだけで、
人との関わり方が変わっていきます。
体験談
以前、嫌だと感じたことを、勇気を出して伝えたことがあります。
正直、とても怖かったです。
「気まずい関係になるかもな」とも思いました。
でも実際には、
「そうなんだー。それでさあ…」
と、相手は普通に話を続けました。
拍子抜けでした。
あんなに怖かったのに、
相手は思っていたよりもずっと軽く受け取っていた。
それまで私は、
本音を言わないことが優しさだと思っていました。
でも違いました。
大切なのは、
自分がどう感じているかを無視しないこと。
自分の感覚を無視しなくなるだけで、
無理に合わせ続けることは少しずつ減っていきます。
関係は、思っているほど簡単には壊れません。
むしろ、正直でいられる関係のほうが、
結果的に長く続いていきます。
最後に
気を使えることは、あなたの強みです。
だから、なくさなくていいのです。
ただ、その優しさで
自分をすり減らしているのなら、少しずつでいい。
その使い方を変えていく。
やさしさの向きを変える。
強度を変える。
それだけで、人との関係は、ちゃんと楽になっていきます。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
同じようにしんどさを感じている方に、届いていたら嬉しいです。
隼あやめ
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